01.5

ユメを見た……。


真夜中。
とても狭い部屋で眼を覚ます。
曇っているせいか、光りがない。此処は何処だろう。
何か懐かしい感じがする。
布団から立ち上がる。
隣にも部屋があるようだ。
さっきから耳障りな声や鈍い音がする。
どうやらこれのせいで起こされたようだ。
眠りたい。
うるさいから眠れない。
静かにして欲しいから扉を開けて怒鳴ろうとした。
開けられたけど声は出なかった。目の前には黒い人が一人、床には朱い人が一人。
黒い人は存在してはいけない人。どことなくオトウサンに似ている気がするけど今は関係ない。
ボクノヤルコトハヒトツ。
右腕に力を籠める。
腕の姿が変わる。
ボクニハコレガアル。
オカアサンにはないモノ。
オトウサンから継いだモノ。
黒い人は生命体としては優れているけれど、〇〇〇としてはボクの方が上だ。
黒い人がボクの頭に向けて手を伸ばしてくる。
左手を地面につきながらしゃがんで避ける。
何も考える必要はない。
ただ〇〇〇としての本能に従えば良い。
そのまま右腕を伸ばす。
頭を掴み、地面に叩きつける。
黒い人が爆ぜた。
朱い絵の具だけを残して……。